百万回の永訣―がん再発日記柳原 和子
中央公論新社 刊
発売日 2005-12
柳原和子さん 人間讃歌の贈り物ありがとう。 2008-03-11
柳原和子さんが2008年3月2日、57歳で亡くなったという事実を知った時、やはり愕然としました。
2000年、晶文社から『がん患者学』が出版されました。
胃がんで胃全摘手術をうけ、生き物としての敗北感と社会が自己をどう位置づけるか、当時の私は不安でした。
私はがんと出会った事態に、冷静に自己を位置づけようとしていたのです。
『がん患者学』は、患者が知りたいことが全部載っていたのです。
泣き言はありません。千葉敦子さんのようなアメリカ医療讃美もありません。
著者の姿勢はきわめて冷静でした。
それは副題が「長期生存をとげた患者に学ぶ」としていることであきらかです。
「がん患者は死ぬ。どのように死ぬかは不明なれど」
この厳然たる事実から逃げることはできない。
「自分も再発し死ぬであろう。」
この諦念が根底にあったようにおもいます。
柳原和子さんに連絡をとりたいと思い、出版社に連絡。柳原さんと電話で話をすることができました。
相手の不安を軽くするために生きているような人でした。
その後の著者の活動はすさましかった。
多くの人に会い納得するまで問う。私たちの代表。
テレビで出演している姿を見て疲れすぎている・無理しすぎているとハラハラ。
そして『がん生還者たち』(中央公論新社)ができました。
さらに、『私のがん養生ごはん』(主婦と生活社)。
最後に「中央公論」で『残照』として連載された この『百万回の永訣』です。
同病者への応援歌でした。いや、人間讃歌です。
がん患者として すべてをひきうけ冷静に書かれた書物です。
現在の医療体制に 怒りをぶつけ 医療側に与えた影響はすごかった。
柳原和子さん、本当にありがとうございました。命がけで、あなたはがんと出会ってしまった人間、それに関わる者たちに がん患者として あなたの生き様を見せてくれたのです。さあ、私も頑張らないといけない。
「お!」と思うような発見があったり、
「へえ」と思うような一文があったり、
著者の柳原 和子の力量が、そこここに現れています。
百万回の永訣―がん再発日記 はそんな部分もあったかと思うと、全体的に一本の筋もしっかり通っています。
そういう意味では、百万回の永訣―がん再発日記 はとてもバランスの取れた本なのじゃないかと思います。
だから、いい意味で失敗が無い本だと思ったりもします。こいつはオススメですよ。
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